2020年、夏実は元気です。
みなさん、ご無沙汰しています。夏実です。
何の前置きもなく、「(妄想小説)私たちの役目は赤ちゃんを産むこと」を掲載し、2020年の活動をスタートしました。
昨日お腹を大きくして久しぶりにブログチェックしたところ、さおりさんからのコメントをいただいていたことに気づき、さおりさんへのレスを書いているうちに、久しぶりにセルフポートレートを撮ってみようかという気になりました。
下の写真は、昨日お腹を大きくした際に撮ったものです。

昭和っぽいチェックのジャンスカに白のタートルネックのセーターを合わせてみました。
写真に写っていない部分では、白の厚手のマタニティリブタイツをはいて、赤ちゃんがはいっている大事なお腹を冷やさないように気遣っています。
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。
何の前置きもなく、「(妄想小説)私たちの役目は赤ちゃんを産むこと」を掲載し、2020年の活動をスタートしました。
昨日お腹を大きくして久しぶりにブログチェックしたところ、さおりさんからのコメントをいただいていたことに気づき、さおりさんへのレスを書いているうちに、久しぶりにセルフポートレートを撮ってみようかという気になりました。
下の写真は、昨日お腹を大きくした際に撮ったものです。

昭和っぽいチェックのジャンスカに白のタートルネックのセーターを合わせてみました。
写真に写っていない部分では、白の厚手のマタニティリブタイツをはいて、赤ちゃんがはいっている大事なお腹を冷やさないように気遣っています。
遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。
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(妄想小説)私たちの役目は赤ちゃんを産むこと
街外れの丘の麓にあるバス停でバスは止まった。
夏実:「降ります。」
妊婦の私は、臨月の大きなお腹を手でかばいながら、座席の手すりをつかんでゆっくりと立ち上がり、出口へと進み、肩に掛けたバックから交通カードを取り出して出口の精算機にかざした。「ピッ」といって精算が済むと、私は手すりにつかまり、大きなお腹で隠れて見えない足元に注意をしながら、バスのステップを踏み外して転ばないように一段ずつゆっくりと降りて車外に出る。
昇降口のドアが閉まりバスが発車すると、私は交通カードをしまってバックを肩に掛け直し、大きなお腹を突き出して坂道を丘の上に向かって登り始めた、なだらかな坂を登って丘の上に着くまでに、私はずいぶん息が上がっていた。
夏実:「ふう、ふう」
大きなお腹の私が丘の上を目指すのは、そこにある建物に向かうため。その建物は「分娩センター」。今日、私はそこで赤ちゃんを産むのだ。
医学が進歩し、今では、AIによるエキスパートシステムを組み込んだロボットの支援でお産を行うようになった。ロボット以外にも、陣痛の痛みや苦しみを和らげ、安全な分娩ができるような新薬も開発され、昔とは違って、妊婦は陣痛に対して受け身にならず、積極的にお産に臨むことができるようになった。妊婦や医療機関の負担を極小化してお産ができるようになったため、一部の難しいケースなどを除き、ほとんどのお産は産婦人科の病院ではなく、病院という程ではないが、一種の医療機関に相当する「分娩センター」で行うようになった。
また、昔のように自然に陣痛がやってくるのを待つのではなく、妊婦自身が計画的にお産の日を決め、美容室と同じように予約を入れて分娩センターに行き、赤ちゃんを産めるようになった。予約したお産の日に、妊婦は分娩センターの分娩室で陣痛促進剤を注入され、お産がはじまるのだ。もちろん、それより早く、破水したり陣痛が来てしまうこともまったくないわけではないので、そういったケースは、救急車などで分娩センターや産婦人科医院に運ばれ、お産をすることもある。
分娩センターでのお産では、赤ちゃんを産んだ翌日には赤ちゃんと一緒に退院できるようになり、昔のように夫立ち会いの出産などという大げさなイベントではなくなった。お産は、妊婦一人で分娩センターへ行って赤ちゃんを産み、翌日には、夫や家族が迎えに来て、自宅に帰るのが当たり前になった。私も、今日は一人で赤ちゃんを産みに分娩センターにやってきて、夫は、夕方には生まれた赤ちゃんの顔を見に分娩センターの病室を訪れる予定だ。
丘を登りきり、分娩センターの入り口の自動ドアの前に立つと、ガラスのドアが開き、私は中に入った。受付で私は母子手帳とマイナンバーカードを女性型ロボットに渡すと、彼女は受付機にそれを通して私に返した。母子手帳には、マイナンバーカードと同じようにICチップが埋め込まれており、あっという間に受付手続きが終わるのだ。
私は大きなお腹を手でかばいながら、吹き抜けになっている広い受付のロビーの中を歩き、私の受付番号「103」と同じ数字が書かれてあるソファにゆっくりと腰を下ろした。ロビーには、私と同様に赤ちゃんを産みに来た沢山の妊婦たちが自分のお産の順番が来るのを待っている。私も彼女たちと同じく、ソファに座って大きなお腹をさすりながらロビーのテレビで流れるお産の注意事項のムービーを見ながら順番を待つの。
私がお産をするのは今回で3度目。5歳と3歳になる2人の息子を産んだときは、お産の順番を待っている間はドキドキとしていたものだった。けれど、3度目ともなると慣れたもので、あまりドキドキはしていない。これまでの2度のお産で、段取りはわかっているし、赤ちゃんを産み落とした時のお産の気持ちよさも知っているので、ほとんど不安はない。ただ、今回は、お腹の赤ちゃんが待望の女の子ということもあって、早く顔が見たいと思うワクワク感はあるの。
しばらくして自走式の車いすが私の前に到着した。お産の順番が回ってきたのだ。私は大きなお腹を手でかばいながらソファからゆっくりと立ち上がった。お腹が大きいと、立ったり座ったりも大変で、私はバランスをとりながら、車いすにゆっくりと腰掛けた。数秒後に車いすは自動的に走りはじめ、広い分娩センターの廊下を奥へ奥へとゆっくりとした速度で進んでいった。そして、私が使う「第103分娩室」と書かれたドアの前で止まった。分娩センターは、各都市に1つ以上あり、それぞれには100から150室くらいの分娩室があると聞く。そこで1日100人以上の妊婦が分娩し、赤ちゃんが生まれる。昔は少子化の問題があったと聞いたことがあるけれど、今は子供は沢山いて、出生率は十分に高い。街で会う20代から40代くらいの女性の3人に1人は、乳児を抱いていたり、お腹が大きかったりする。
沢山の夫婦が、何人も子供を作るようになった。それというのも、子供を産み育てるための政府の支援が充実してきたから。夫婦が子供を1人産むと500万円が支給され、幼稚園や保育園、学校などの教育費は無償で、その子を育て成人させ、就職させると、さらに500万円が支給される。2人目以降を産むとそれらの額は2倍になる。沢山子供を作った夫婦には、広い住宅も安く貸与される。これなら、若い夫婦も、安心して子供を産み、育てられる。
私の使う分娩室の隣の「第102分娩室」の前には、私より早くに着いた20代と思われる若い妊婦が不安そうに待機している。彼女は透き通るような白い肌と金色に染めた髪、美しい顔立ちの女性だった。彼女の車いすと私の車いすは2m程離れていたが、これくらいの距離なら話はできる。私は、不安そうな表情を続ける彼女に話しかけてみることにした。
夏実:「赤ちゃん産むの初めて?」
若い妊婦:「ええ、奥さまは、何人目ですか?」
夏実:「奥さまじゃなくて夏実でいいわ。私は海野夏実よ。あなたは?」
若い妊婦:「ちあきです。三矢ちあきです。」
夏実:「私は、今日3人目を産むのよ。そんなに不安がることないわ。赤ちゃんを産むのは素敵よ。生まれた瞬間は気持ちいいし、お産を楽しめばいいの。」
ちあき:「でも、私、性転換手術を受けてるし、主人との初めての赤ちゃんを無事に産めるか心配で...。」
夏実:「大丈夫。私も性転換手術を受けたのよ。今までに2人産んだけど問題なかったわ。自信を持って。あなたはママになるのよ。」
彼女も私も性転換して女になり、妊婦になり、赤ちゃんを産むのだ。現代では、純女さんは積極的に社会進出してバリバリと働くのが普通で、結婚して、出産して、ママになる人の割合は、昨年には3割を切り、今年はさらに少なくなってきているらしい。その代わりに私たちのように性転換して女になり、妊娠して、出産して、育児をし、女の幸せを味わいたいと思う男の娘たちが新しい命を産む役割を担っている。社会的にそういう風潮は当たり前になっているせいか、性転換してママになる男の娘の数は、男性の人口(正確には、男性として生まれた人口)の約22%に達しているそうだ。妻に自分の子供を産ませたい男性は、私たちのような男の娘と恋愛をし、結婚する。結婚すると男の娘は性転換手術を受け、夫と子作りに励み、妊婦になり、分娩センターで赤ちゃんを産むのだ。
男の娘だった私は、赤ちゃんを産み育てる女の幸せを味わえてこの上なくうれしいし、ほとんどの純女さんが放棄した、自分のお腹の中で赤ちゃんを大事に育み、産み落とす役割を担っていることを誇りに思っているわ。実は、私の場合、もともと大きなまあるいお腹の妊婦さんの姿(体型)になることに憧れ、妊婦女装を楽しんでいた男の娘だったため、結婚して性転換し、妊娠できるようになった今、妊娠中期から後期にかけて大きなお腹で過ごす妊婦生活は夢心地なのだ。
母から聞いた話だと、私の母方(山田家)の祖母も性転換して女になり、母や武おじさんたちを産んだらしい。私が結婚して性転換するとき、母からその話を聞いた。私は性転換後の女性名を祖母と同じ「夏実」にしたいと思い、母と祖母に話すと、祖母はたいそう喜んでくれた。
性転換や妊娠治療については、経験者である祖母の話をよく聞いた。祖母の頃は、まず、陰茎や精巣などの男性生殖器を取り除き、子宮や膣、外陰部を外科的手術で移植する性転換手術を受ける。そして性転換前に採取し冷凍保存しておいた精子を使って人工的に卵子を作り、夫の精子と体外受精してから子宮に戻し、着床させ妊娠がはじまる仕組みだったそうだ。妊娠中は、胎盤から分泌される女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)で、どんどん女らしい体つきになっていったそうで、それは、私の時も同じだった。ただ、私の時代には、子宮や膣、外陰部を外科的手術で移植するところは昔と同じだけど、元々あった精巣はそのまま残して遺伝子治療で卵巣に変化させ、体外受精ではなく、普通に夫とセックスをし妊娠する。医学の進歩で昔よりも自然な妊娠が可能になり、性転換した私たちのような女性の負担はずいぶん軽くなって、沢山子供を産むことも難しくなくなった。
今回のお産が終わり、育児が一段落したら、主人と相談の上で決めるけれど、私は、まだ何人か産みたいと思っているの。
きっと、今は不安げな彼女も、一度お産を経験し、お産の素晴らしさを味わえれば、また赤ちゃんを産みたいと思うはずであり、私は少しでもその後押しをできればと思って彼女に話しかけたのだ。
ちあき:「そうなんですか。少し安心しました。私、がんばって赤ちゃんを産みます。主人が喜ぶ顔が見たいもの。」
夏実:「そうよ。頑張って。お互い赤ちゃんが生まれたら、また会わない?」
ちあき:「いいですね。ぜひ、お願いします。」
夏実:「絶対に会おうね。そのときは赤ちゃんも一緒よ。」
ちあき:「はい。」
彼女が返事をすると、待ち構えていたかのように第102分娩室のドアが開き、自走式車いすは分娩室の中へ彼女を運んでいく。
ちあき:「夏実さんも元気な赤ちゃんを産んでくださいね。」
夏実:「ええ。ちあきちゃんも頑張って。」
彼女と言葉を交わした後、1分くらいして、私の座った自走式車いすも、第103分娩室へと入っていった。
分娩室に入ると、AIロボットが話しかけてくる。
ロボット:「海野夏実さんですね。」
夏実:「そうよ。」
ロボット:「ご懐妊おめでとうございます。私は、これから、あなたの出産の介助をするお産支援ロボットOBJ-1103と申します。どうぞよろしくお願いいたします。」
夏実:「こちらこそ。よろしくね。」
ロボット:「それでは、夏実さん、まず、荷物をワゴンの上のバスケットに置いていただいて、服を脱いで分娩衣に着替えてください。念のためお願いしておきますが、マタニティショーツは脱いでおいてくださいね。」
夏実:「わかったわ。」
私は、着ていたマタニティワンピースを脱ぎ、マタニティブラをはずし、マタニティストッキング、マタニティショーツと次々に脱いで、脱衣籠に入れ、全裸になった。私は、脱衣場所にある姿見に写った私の姿を見つめた。赤ちゃんの入った大きなまるいお腹と出産に備えて脂肪がつき幅広くなった腰つき、それに母乳を蓄え大きく豊かに張った乳房、今の私の裸体は、私にとって最高の姿であり、男の娘のときには夢にまで見た憧れの姿。もうすぐ私は赤ちゃんを産み、この大きなまるいお腹とはお別れなのだ。ずっと見つめていたいけど、もう待ったなしで赤ちゃんを産まなければならない。私は、愛しいお腹や乳房を包むように分娩衣を羽織って紐を結ぶと、お産に臨むよう気持ちを切り替えた。
ロボット:「着替え終わりましたね。それでは、分娩台に上がって支脚器(脚置き)に脚を載せてください。」
私は、分娩台に上がり、股を開いて、脚置きに両脚を載せた。
ロボット:「それでは、脚を固定しますが、分娩中は夏実さんのリクエストに応じて、高さや開き具合など変えることができますので、安心してくださいね。」
夏実:「わかったわ。」
脚置きに載せた私の両脚と太腿をロボットはベルトで固定し、わずかに聞こえるモーター音がして、分娩の体勢をとるためゆっくりと大きく私の股を開いた。そして、分娩監視装置のベルトを、私の大きなお腹に巻いた。
ロボット:「それでは、これからお産を進めていいか、事前検査をしますね。血圧、血液検査、尿検査を行いますので、楽にしていてください。」
太腿を固定したベルトに組み込まれた血圧計でロボットは血圧を測定した。
ロボット:「血圧は異常ありませんでした。
夏実さん、次に、血液を採取しますので、握り棒をぎゅっと握ってみてください。」
私は、いきむときに握る「握り棒」をつかんだ。すると、細い針が棒から出て私の指をチクッと刺した
夏実:「痛い。」
ロボット:「すみません。血液を採取できました。もう握り棒を掴んだ手を緩めていいですよ。」
針が指に刺さった瞬間に、少量の血液が採取されたようだ。
ロボット:「検査しますのでしばらくお待ちください。」
血液検査は少しだけ時間がかかる。
ロボット:「血液検査も異常ありませんでした。
次に尿を採取します。カップが股間に吸着しますので、尿を出してみてください。
尿は出そうですか?」
夏実:「多分出ると思うわ。」
チューブがついた採尿用の半球型カップが私の股間に吸着すると、私は下腹部に少し力を入れ、放尿した。
「じょぉー」
勢いよく飛び出した私の尿は半球型のカップにあたり、それにつながったチューブへと流れ込み、検査機へ入っていった。
ロボット:「尿を採取できました。検査をしますのでしばらくお待ちください。」
尿検査も少し時間がかかる。
ロボット:「尿検査も異常ありませんでした。
これで、事前検査は終了です。問題なくお産に臨むことができます。
まず、陰部の脱毛をしますので、楽にしていてください。」
ロボットのいくつかあるアームのうち、チューブのついたアームが私の陰部に伸びていき、先からクリーム状の脱毛剤が出てきて、先にやわらかいゴムの付いたもう一つのアームで、私の陰毛の生えたデリケートゾーンに塗布し始めた。塗布が終わり数分間待って、ロボットのアームで脱毛クリームが拭き取られると、クリームと一緒に陰毛は抜け、私の陰部は「つるつるの状態」になった。その後、脱毛クリームが残らないよう水とアルコールできれいに洗浄され、温風で乾かされた。
ロボット:「夏実さん、浣腸はどうされますか?」
夏実:「分娩の時うんちがでないように、浣腸するんでしょう?」
ロボット:「上のお子さんをお産みになった時は、浣腸は必須でした。
出産前に排便を済ませておくと、腸の中が空になって赤ちゃんが産道を通りやすく
なったり、浣腸による刺激で陣痛が促進されると言われていたからです。
しかし、今では、浣腸によるそのような効果はほとんどないことがわかりましたし、
浣腸による痛みを感じる妊婦さんも少なくないため、妊婦さんの選択によりしないことも
できます。もちろん、分娩時に排便してしまっても、きちんと処理はします。」
夏実:「どうしようかしら...。うんちが出てしまうのも恥ずかしいし...」
ロボット:「参考までに、最近の統計では、8割の妊婦さんが出産前の浣腸をしないようです。」
夏実:「じゃあ、浣腸しないでみようかしら。」
ロボット:「わかりました。それでは、お産を進める準備をします。しばらくお待ちください。」
ロボットは、次のステップのために、器具やガーゼなどの準備をするとともに、お産の介助に適した形に変形していった。
ロボット:「事前準備が終わりましたので、いよいよ陣痛促進剤を注入します。膣にスティック状のノズルを挿入します。ノズルは体温より少し低い温度に温めています。挿入時は楽にしていてくださいね。」
ロボットがそう言うと、陣痛促進剤を注入するノズルが、私の陰部に近づいてきた。ペニスのような形の長い棒がわたしの膣の中へゆっくりと沈んでいった。生暖かくやわらかい棒には挿入しやすいように表面にローションが塗られているようだ。経産婦の間では、これを「お迎え棒」と呼んでいる。性転換妊婦が登場する前の昭和や平成の頃は、早く赤ちゃんを産みたい臨月の妊婦は、陣痛を誘発するために、夫に勃起したペニスを挿入してもらい膣内で射精してもらったそうである。精液の中に陣痛を促す物質が含まれており、それを子宮口にかけてもらうためらしい。この行為を「お迎え棒」と呼んでいたそうで、まさにそれと似ているからそう呼ぶのだそうだ。
ノズルが私の膣の奥まで届くと、私は思わず声を出してしまった。
夏実:「ああん。」
妊娠後期に入ってから、夫との性交を控えてきた私は、久しぶりに膣に棒が入ったため少し感じてしまったのだ。
ロボット:「大丈夫ですか?」
夏実:「大丈夫よ。」
ロボット:「では、ノズルが膣の奥まで達しましたので陣痛促進剤を注入しますね。注入後まもなく、子宮が収縮し始めます。心の準備はいいですか?」
夏実:「ええ、いいわ。はじめてちょうだい。」
ロボット:「注入を開始します。」
私は、膣の奥でドロッとした液体がノズルから押し出されるのを感じた。注入が終わり30秒くらい私の膣の中にとどまっていた棒は、ゆっくりと引き抜かれていった。その間に液体は私の膣や子宮口の表皮から浸透していく。3分程経ったかしら。私は子宮に少し重く鈍い感覚を覚え、ぎゅうっと子宮が収縮していくのがわかった。
さらに2分ほど経つと、今まで水平だった分娩台の背もたれは少し起こされ、それと同時に子宮の中にいた赤ちゃんが、ゆっくりと下に降りて子宮口を圧迫してくるのがわかった。陣痛促進剤と同時に注入された薬剤の効果で、子宮口やは柔らかく開きやすくなっていて、下に下がってきた赤ちゃんの重みでどんどんと開いていくのを感じた。それでも、私のお腹にそれほど痛みはなく、順調にゆっくりとお産が進んでいった。
ロボット:「夏実さん、赤ちゃんは順調に産道に向かっていますよ。排臨(赤ちゃんの頭が陰部から見え隠れする状態)まで、強くいきんではだめですよ。我慢してくださいね。」
夏実:「わかったわ。あとどれくらいかしら?」
ロボット;「5分くらいだと思いますよ。」
私の赤ちゃんは、身体を回転させながら、私の膣をぬるぬると下がっていく。膣も子宮口と同じで薬剤により柔らかくなっていて、赤ちゃんの大きな頭や体に圧迫されても、特に痛みを感じることはなかった。ゆっくりと穏やかにお産は進んでいく。
ロボットの指示どおり、強くいきむことは我慢していても、赤ちゃんが下に下がっていくにつれ、自然に私は、力を加減しながら軽くいきむようになった。このいきみは「反射」により体が自然に促すもので、この程度であれば我慢しなくてもよいらしい。
夏実:「うぅん。あぁっ、」
そのたびに赤ちゃんの頭が少しずつ外へ近づいているようだ。やがて、私の陰部も赤ちゃんの頭に押されて開きはじめていくのがわかった。私は、足元に置かれている鏡で赤ちゃんの頭が見え隠れしてきたのが見えた。児頭の排臨だ。赤ちゃんはまだ羊膜に包まれていて、羊膜は羊水で風船のように膨らんでいる。
ロボット:「まだ、破水していませんので、羊膜を破って破水させます。
大きな破裂音がするかもしれませんが、びっくりしないでくださいね。」
夏実:「わかったわ。」
私の股間の辺りにアームを伸ばし、ロボットは鉗子で羊膜をつまんで破る。パーンと風船の割れるような音がし、私は股間のシートが羊水で濡れるのがわかった。
ロボット:「それでは、いきみはじめますよ。私の合図にしたがっていきむんですよ。まず、呼吸を整えます。大きく息を吸って、吐いて、大きく息を吸って、吐いて。」
夏実:「すぅーっつ。はぁーっつ。すぅーっつ。はぁあー。」
私はロボットの合図にしたがって深い呼吸を始めた。
ロボット:「あと一回息を吸ってから息を止めていきみますよ。はい、大きく息を吸って、はい、いきんで!」
夏実:「うぅーん。」
私は、握り棒を握り、股間を覗き込むような体勢になり、顔を真っ赤にしていきんだ。
赤ちゃんは、私のいきみでお腹にかかった腹圧により、ゆっくりと外へ押し出されていく。会陰も薬剤の効果で柔らかくなってはいるが、やはり赤ちゃんは産道や会陰よりも大きいため、この期間は産婦が最もしんどい時。
夏実:「うぅーん。あぁーん」
ロボット:「はい。少し休みましょうね。呼吸を整えて。」
ロボットの合図で、私は呼吸を整える。
夏実:「すぅーっつ。はぁーっつ。すぅーっつ。はぁあーん。」
ロボット:「夏実さんは経産婦なので、あと一回か二回いきんだら赤ちゃんの頭が出てくると思いますよ。頑張って。」
夏実:「わかったわ。」
ロボット:「呼吸を整えてから、またいきみますよ。はい、大きく息を吸って、吐いて。大きく息を吸って、吐いて。息を吸って、はい、いきんで!」
夏実:「うぐぅーっつ。あぁーん。あぁーーつ。」
私がいきむと、ロボットの言ったとおり、赤ちゃんはぐいぐいと下に降りてきて、赤ちゃんの頭でおまたのあたりを押されている感覚がある。そして、間もなく会陰にすっぽりと赤ちゃんの頭がはまってきた。発露だ。
ロボット:「はい、いきみをやめて、力を抜いて。一旦、休んで、呼吸を整えてから、またいきみますよ。」
私は、いきむのをやめ、呼吸を整え始めた。赤ちゃんの頭は、私の会陰にはまっているものの、私が力を抜いている間も、ゆっくり自然に外へ出てきているように感じる。まだ、とても苦しい。たとえるなら、便秘で肛門までうんこがきているのに固くてなかなかでてこない感覚。
ロボット:「呼吸を整えてから、またいきみますよ。はい、大きく息を吸って、吐いて。大きく息を吸って、吐いて。」
ロボットの合図で、また私は呼吸を整える。
夏実:「すぅーっつ。はぁーっつ。すぅーっつ。はぁあーん。」
ロボット;「あと一回呼吸を繰り返してから、いきみますよ。はい、大きく息を吸って、はい、いきんで!」
夏実:「うぅーん。あぁーん。あぁーん。」
ロボット:「あと少しですよ。がんばって赤ちゃんを出してしまいましょう。」
もう少しで赤ちゃんが出そう。私は、懸命にいきむ。
夏実:「あぁーん。あぁーーつ。」
足元に置かれている鏡を覗き込むと、もう赤ちゃんの頭がほとんど外に出てきているのが見えた。
ロボット:「はい、力を抜いて、はっ、はっ、はっ、はっ と短息呼吸してください。もういきんではだめですよ。」
私は、いきみをやめ、握り棒から離した手を胸の前で組み、力が入らないように小刻みに呼吸をした。
夏実:「はっ、はっ、はっ、はっ」
私の呼吸に合わせ、赤ちゃんはゆっくりと体を回しながら外に出ようとしているのがわかる。
夏実:「あぁーん。あぁーーつ。あっ、出る。出る。出ちゃう。赤ちゃん、赤ちゃん、あぁっ、赤ちゃん。」
次の瞬間、今まで会陰にはまっていた赤ちゃんの頭がぬるっとぬけ、続いて赤ちゃんの肩も抜け、私は股間から赤ちゃんをひり出した。
夏実:「あぁーん。気持ちいいーっ。」
私の股間から出てきた赤ちゃんは、やがて元気な産声を上げた。
赤ちゃん:「オギャーッ。オギャーッ。」
ロボット:「夏実さん、おめでとうございます。元気でかわいい女の子ですよ。」
夏実:「ありがとう。ああーっ。お産よかった。気持ちよかった。」
私が産んだ赤ちゃんは、へその緒を切られ、私の胸元へ差し出された。
夏実:「かわいい。私の赤ちゃん。はじめまして、私がママよ。」
しばらくカンガルーケアを続けていると、私の胸の中で赤ちゃんは泣きやみ落ち着いてきた。
ロボットはアームで赤ちゃんを抱きかかえると、沐浴キットへと運んだ。
その間に、私は後産をすませ、胎盤を外に出した。私は、赤ちゃんをひりだした後の爽快感ほどではないが、胎盤がはがれる時の痛た気持ちのいい感覚や、胎盤が出る時の「どぅるるるるん」って感じも好きだ。胎盤が出た後、ロボットは、私の子宮内に残留物がないか確認し、私の股間をアルコールできれいに消毒した。その後に私の腰をアームで持ち上げて、器用にT字帯をあてた。
私のお腹は、赤ちゃんが入っていた時よりもへこみはしたけれど、今まで伸びていた皮膚や腹筋はたるんだままで、もう一人くらい入っていそうなほどだ。
しばらくすると、産湯から上がった私の赤ちゃんは、白い産着を着せられ、再び私のところへ帰ってきた。
赤ちゃんは、私の横に寝かされた。私は、産んだばかりのかわいい娘から目が離せなかった。
ロボット:「夏実さん。これでお産の介助を終了します。お疲れさまでした。また、お会いできることを楽しみにしています。」
夏実:「ええ、またきっと赤ちゃんを産みに来るわ。今日はありがとう。」
分娩台はストレッチャーに変形し、私と赤ちゃんは個室の病室へと運ばれていった。
夕方になると、夫が息子たちを連れて私の病室にやってきた。
夏実:「ぼうやたち。ほら見て。妹だよ。」
夫と息子たちは、私が産んだ娘を見て喜んだ。
夫:「夏実。かわいい娘を産んでくれてありがとう。」
息子たちは、初めて会った妹に興味津々だった。
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