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ショートストーリー #02

 ショートストーリーの第2弾です。
http://natsumom.blog.fc2.com/blog-entry-33.html
のコメントに書いたシチュエーションに基づいて、お話を作ってみました。

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 私の名前は海野夏実。ただいま妊娠10か月。臨月に入りました。
私のお腹の中には主人との初めての赤ちゃんが入っているの。大きなお腹を抱えてマタニティライフを送っている私はとても幸せ。大きなお腹を突き出して家事をしたりお買い物に出かけたりするのは大変だけど、愛する人の赤ちゃんをお腹の中で大事に育んでいると思うと充足感で満たされ、頑張れるの。
 多分、誰から見ても私はごく普通の妊婦に見えると思うけれど、実はそうではないのです。一昨年まで私は男の子だったの。私は子宮や卵巣など女性の生殖器の移植を受け女性に性転換した、性転換妊婦なのです。

Girly and Cute #6

 一昨年までの私は、妊婦になることに憧れ、妊婦女装を営むいわゆる「男の娘」でした。そんな私に転機が訪れたのは、勤めていた会社の健康診断のとき。より女性らしく妊婦女装をしたいと願い女性ホルモンを服用していた私は胸が少し膨らみ、腰がくびれ、肌もやわらかくなっていたわ。会社の上司や同僚には気づかれないように色々工夫はしていたのだけれど、検診で裸になって診察を受けた時、担当の男性医師に見抜かれたの。

医師:「あなた女性ホルモンを服用していますね。隠しても尿や血液の検査でわかりますから正直に話してください。」
夏実:「会社には秘密にしてくれますか?」
医師:「もちろんです。これはプライベートなことですから。」
夏実:「おっしゃるとおりです。」
医師:「女性になりたいのですか?」
夏実:「ただの女性ではなく、妊婦になりたいのです。私には妊婦女装の趣味があって、会社にはそれを隠しています。より女性らしい妊婦女装のために、最近女性ホルモンを服用しはじめました。」
医師:「なるほど。」
夏実:「だめでしょうか?」
医師:「いや、そうではなくて...。もしあなたが望むのであれば、私があなたを女性に、そして本物の妊婦にしてあげましょうか?」
夏実:「え?どういうことですか?」
医師:「子宮や卵巣など女性の生殖器を移植して性転換するのですよ。実はドナーとなる人も既にいます。その人は女性ですが、男性になることを希望しています。あなたと生殖器を入れ替えれば、お互いの望みが叶うのです。手術を受ければ、あなたは妊娠できる身体になれますよ。」
夏実:「ぜひお願いしたいです。」
医師:「わかりました。免疫型の検査などクリアするのが移植の条件です。うちの病院に検査に来てみてください。」
夏実:「わかりました。なるべく早く検査に行きます。」
この思いがけない申し出に、私は天にも昇る気分になった。「憧れの妊婦に本当になれるかもしれない」そう思うととてもワクワクしたわ。
 そして、私は後日すぐに医師の勤める病院で検査を受けに行ったの。結果は免疫型がドナーと一致し、移植や性転換の手術を受けられることになったわ。私は会社を退職し、手術を受けて女性としての新しい人生を歩む決心をしたの。

 私は子宮や卵巣のほか外陰部までまるごと移植する手術を受けた。代わりに私から取った精巣や陰茎などは、子宮などをいただいたドナーに移植されたらしいわ。その人も手術は成功したらしく、お互い良かったって感じ。
手術を受けた後は傷が痛んだけれど、2週間後には収まったわ。もう退院してもよさそうに思えるのだけれど、しばらくの間は、生殖器がうまく機能するか経過観察のためそのまま入院することになったの。それから数日経ち「生理」がはじまったときは、女になったことを実感したわ。その後私は、前よりも胸が膨らみ、腰がくびれ、骨盤も広がって、より女性らしい体つきになってきたの。

医師:「もうすっかり落ち着いたね。」
私の主治医は検診のときの男性医師。彼は手術の執刀医ではなかったのだけれど、産婦人科医で、私の術後の経過を看ることとなったの。彼は、私より少し年上の落ち着いた優しそうな感じの人。手術からもうすぐ1ヶ月経つけれど、経過は順調とのことでした。

夏実:「先生のおかげです。私の望みが叶いそうです。」
医師:「それはよかった。」
夏実:「退院したら、お礼にお食事でもどうですか?」
医師:「患者からお礼をいただくわけにはいかない規則になっているので...。じゃあ、代わりに、私がご馳走しましょう。」
夏実:「いいんですか?」
医師:「いいんです。」
夏実:「では、お言葉に甘えて。」
私は、主治医である彼と約束をしてしまった。

 それから2週間後に私は退院し、手術前に決めていた新しいアパートへ引っ越して女として新しい生活をスタートした。引っ越してからすぐ、例の医師から連絡があり食事に誘われたの。その後も私は彼とたびたび会うようになり、二人はいつの間にか愛し合うようになっていたわ。どうも彼の方は初めから私のことが好きだったみたいなの。考えてみると、私の方もなんとなく彼に魅かれていて、それで食事のお誘いもOKしたのだと思うわ。
 手術から1年後のある日、私は生理がこないことに気付いたわ。まさかと思い、薬局で妊娠検査薬を購入し、試してみるとはっきりと「陽性」の反応が出た。
夏実:「赤ちゃん?私のお腹の中に彼の赤ちゃんができちゃった。すごい。うれしい。」
私は、彼に妊娠のことを告げると、彼も喜んでくれ、私たちは結婚することになった。この機会に彼は勤めていた病院を辞め、実家の産婦人科医院を継ぐことになった。彼の実家は○○県の田舎町にあり、医院の裏にある古い住宅に私たちはに引っ越して新婚生活をはじめたわ。つわりの苦しい時期を乗り越え、一度流産しそうになったけれどなんとか乗り越え、安定期に入ってからは、私のお腹はみるみる大きくなってきた。
それから私は、彼の妻として、そしてもうすぐママになる一人の幸せな女性として毎日を過ごしたわ。そして今、無事に臨月を迎えることができたの。

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