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少しだけ現実的な夢 最終章 - 私の出産1 -

響子さんの出産に立ち会ってから2週間が過ぎた。響子さんとはあれから会っていなくて、私は1人で出産の準備に専念する毎日。出産のため入院するときの荷物をあらかじめバッグに詰めたり、クリニックでもらったお産のDVDを何回も見て、響子さんの出産も思い出しながら、イメージトレーニングをしているわ。お出かけも少し控えて、大きなお腹でロッキングチェアに座って編み物などして、落ち着いたゆったりとした日々を過ごすようになったの。
臨月に入ってから毎週まさみクリニックに通っていて、私のお腹はとても大きくなった。いよいよ、待ったなしでお産の日がやってくるんだわ。最近、私は、その心がまえがだんだんとできてきた気がするの。

そして、ついに出産予定日の日曜日になった。午前3時頃から少しお腹が張っていて(という設定)、未だ眠っていた主人を起こしてそのことを話した。彼は、今日は仕事が休みなので、ずっと付き添ってくれるの。
6時頃になると、お腹に痛みを感じるようになった。痛みは大体15分おきにやってきて30秒くらい続く。少しずつその間隔が短くなっていく気がするの。8時になり、痛みは10分おきにやってくるようになった。まさみクリニックに電話して様子を話すと、すぐに入院してくださいと言われた。私は入院用のバッグを持って、主人の運転する車でクリニックに向かったわ。

クリニックに着いて入院の手続きを済ませ、私は、個室の病室に入った。持ってきたピンクのマタニティパジャマに着替え、ベッドに横になった。しばらくすると、看護士さんがやって来た。
看護士:「海野さん、診察室に行きますよ。」
私は、主人に身体を支えてもらい、大きなお腹を手でかばいながらベッドから起き上がった。診察室に入ると、私は看護士さんの指示でマタニティパンティーを脱いで検診台に上がり、大きく股を開いた。私の膣にはクスコが入れられ、看護士さんはクスコを覗き込みながら、私のお腹の中のバルーンへ圧縮空気を送り込むためにチューブをつないだ。そして、チューブのもう片方の端を持ち運びができるポンプにつなぎ、ポンプのスイッチを入れた。「ウィーン」と静かな音でポンプが動作しはじめ、空気がゆっくりとバルーンへ送りこまれた。これで、お腹の中の赤ちゃんを徐々に外へ押し出すのだ。私は、かすかではあるけれど、お腹の中に送り込まれた空気によりバルーンが膨らんでいくのを感じることができた。看護士さんは、私の膣から出ているチューブをサージカルテープという医療用のテープで私の太ももへ固定し、陣痛のための処置が終わった。
私は、太もものテープが外れないよう気遣いながら、看護士さんに支えられて検診台からゆっくりと下りた。そして、脱いだマタニティーパンティーを小さくたたんで、パジャマのポケットにしまった。もう赤ちゃんが生まれるまで、パンティーを履くことはない。お腹の中へ空気を送り込むポンプは、移動用の点滴スタンドに括り付けられ、私はそれを押して病室まで戻るのだ。診察室を出ると、主人が待っていてくれた。私は片方の手をお腹にあて、もう片方の手で点滴スタンドの支柱を握って押しながら、ゆっくりと歩き出した。主人は私の横について腰に手を回して身体を支えてくれた。

病室へ戻ると、私は再び横になった。まだ痛みは耐え切れないほどではないけれど、主人はベッドの横に座り、私のお腹や腰をさすってくれた。私も目を閉じて大きなお腹を手でさすりながら、陣痛に耐える妊婦を演じた。こんな風に健気に痛みを耐えている状況を演じていると、ムードが高まってきて少し萌えるわ。私はしばらくの間この気分を楽しんだ。
また少し時間が経つと看護士さんがやってきて、私のお腹に分娩監視装置のセンサーがついたべルトを巻いた。響子さんがお腹に巻いていたやつだ。モニターには、赤ちゃんの心拍数などが表示されている。お産のための器具をつけられたことにより、私のムードはさらに高まった。あいかわらず横になって陣痛に耐える私だけど、気分の高まりからか少し吐きそうな感じを覚え、つらさに目を閉じて、ガーゼのハンドタオルで口元を押さえた。

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主人:「夏実、今の表情すごくいいよ。本物の産婦さんみたいだ。」
夏実:「そう。でもね、今は本当にとてもつらかったの。あなたがそういうなら、落ち着いたら、今のように演じてみるわ。でもまた高まって気分が悪くなりそう。」
主人:「少し休んだらいいよ。赤ちゃんが生まれるまでまだ時間はある。」
夏実:「そうね。」
その後、私は彼のために何度か同じ表情を演じたが、最初のような辛さはなくなり、気分が高まっているものの悦びにも似たムードで演じれるようになった。

看護士さんが病室にやって来た。分娩監視装置の数値や私の様子を調べて記録するのだ。看護士さんは、私のマタニティパジャマの裾をめくって覗き込み、私の陰部を開いて子宮口の開き具合を調べた。
看護士:「海野さん、だいぶ子宮口開いてきましたよ。陣痛室の準備ができたので移りましょうね。」
夏実:「はい。」
私は、陣痛室へ移ることとなった。

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